第133回観察会の記録

1.日時:平成29年9月9日(土)

2.参加人数:48名

3.観察コース:金剛山ロープウェイ前バス停〜伏見林道〜細尾谷中尾根〜金剛山遊歩道〜国見城趾(昼食・解散)

4.観察会の状況

・夏休み明け、秋晴れの良い天気になり絶好の観察会日和でした。
植物もすっかり秋に衣替えしており、若い果実も見え始めています。
伏見林道に入る前に、府道沿いでウラジロマタタビの実やセンボンヤリの閉鎖花を観察。
伏見林道では、いつもおなじみのジャコウソウ、果実を付け始めたハダカホウズキ、一人で探すと見落としてしまいそうなオオカモメヅルやヤマホロシを見つけ、日当たりの良い所ではオオヒナノウスツボを観察。
・細尾谷に入ってからはアキギリ(ハイコトジソウ)やイガホウズキ、ノササゲ、ヤブマメ、アマチャヅル、ツルリンドウなどを観察しました。
・今回は、秋の定番ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスの違いやコフウロとゲンノショウコ白花の違いなどを学習しました。
 また、観察時にはヤマホロシかマルバノホロシかがはっきりしなかった個体は、写真を拡大するなどして確認したところヤマホロシでした。
 写真でその違いを見られるようにマルバノホロシの参考写真も掲載しました。
・国見広場は多くの人で一杯、分散して昼食を取った後解散しました。

 5.観察できた植物

@主な草花(約54種、葉だけの物も含む。便宜的にシダ植物も含めています。)
・アカネ、アキギリ、アキチョウジ、イガホオズキ、イヌショウマ、イヌトウバナ、イノコズチ、オオカモメヅル、オオヒナノウスツボ
 オシャクジデンダ(シダ植物)
・オタカラコウ、オトコエシ、ガンクビソウ、キッコウハグマ、キンミズヒキ、クサアジサイ、ゲンノショウコ、コフウロ
・サジガンクビソウ、ジャコウソウ、シュウブンソウ、センボンヤリ、ダイコンソウ、タケニグサ、チヂミザサ、ツルニガクサ
 ツルニンジン、ツルリンドウ、ヌスビトハギ、ノササゲ、ノブキ、ノブドウ
・ハキダメギク、ハダカホオヅキ、ハナタデ、ヒヨドリバナ、フジカンゾウ、ボタンヅル、ミゾホオズキ、
・マツカゼソウ、マネキグサ、ミズタマソウ、ミズヒキ、ミゾソバ、ミヤマタニソバ、ムカゴイラクサ、モミジガサ 
・ヤブタバコ、ヤブハギ、ヤブマメ、ヤマシロギク(イナカギク)、ヤマトウバナ、ヤマホトトギス、ヤマホロシ  など

A主な樹木(約6種、葉だけの物を含む)
・アクシバ、ウラジロマタタビ、
・ツルアリドオシ
・ナガバノコウヤボウキ
・フジウツギ、ムラサキシキブ など



〇植物の写真

  (サムネイルをクリックすると、拡大画像になります。元に戻るにはブラウザーの「戻る矢印ボタン」を押してください。)

アキギリ(ハイコトジソウ) アキギリ アキギリ アキチョウジ
・葉の形が琴の弦を支える足(琴柱−ことじ−)に似ていることから、コトジソウとも呼ばれる。
・金剛山のものは、地面を這うように伸びることから、ハイコトジソウと呼ばれているよう。
綺麗な青紫色の花が美しい。


イヌショウマ ウラジロマタタビ オオカモメヅル オオカモメヅル
サラシナショウマより少し早く咲き始めます。

サルナシの変種。マタタビと違って果実には虫嬰ができないように思います。 小さな5弁の花が葉の下に隠れて咲くので探すのに一苦労。これは良く見つけたものです。 先が尖り、基部はくびれた三角状広披針形の葉を探して覗き込むのが早い。

オオヒナノウスツボ オオヒナノウスツボ (参考写真)ヒナノウスツボ オシャクジデンダ
ヒナノウスツボより丈が大きく、小花柄には腺毛が密生。
乾いた道端や荒れ地などに見られる。

谷沿いの湿ったところに多く、丈は低く、腺毛はオオヒナノウスツボより目立たない。 渓流沿いの大木(千早のトチノキ)の幹に生えたシダ植物オシャクジデンダ。舌を噛みそうな名前。

オトコオシ ギンミズヒキ ジャコウソウ ジャコウソウ
オミナエシよりがっしりしている。

ミズヒキの白花種。

伏見林道沿いのジャコウソウは以前より少なくなったような気がします。

センボンヤリ センボンヤリ(閉鎖花) ツルリンドウ ツルリンドウ
春に花を咲かせたあと、秋には閉鎖花をつけて自家受粉を行う念の入った植物。槍が沢山並んでいるような様子から名が付いた。 多くは地面を匍匐して居るのに、珍しく他の植物に絡みついて立ち上がっていました。


ナガバノコウヤボウキ ヌスビトハギ ノササゲ フジカンゾウ
キク科の低木。



盗人が足音を立てないように、足の外側だけを使って歩いたときの足跡に似ているとのことですが‥‥‥。 マメ科のつる性の植物。黄色い色と長めの花弁が特徴。小葉が3枚の複葉。

同じマメ科、こちらはつるではなく茎が立ち上がる。葉は小葉が5〜7枚の羽状複葉。


ノブキ ノブキ(果実) マネキグサ マネキグサ
白い花が終わるとそう果が放射状に伸び、先の方に腺体があり粘って付着しやすい。 夏の終わりから咲いていたものが、まだ残っていました。


ヤマホロシ ヤマホロシ (参考写真)マルバノホロシ (参考写真)マルバノホロシ果実
ヤマホロシとマルバノホロシの花はとてもよく似ています。
・ヤマホロシは花弁の基部が紫色で、その外側に白または緑色の斑点が飛び飛びに並ぶ。
・マルバノホロシの花弁の基部は緑色で帯状に連なっている。
昨年観察会で見た水越峠の果実。今年、花を見つけてマルバノホロシの果実と確認しました。

イガホオズキ ハダカホオズキ ミズタマソウ モミジガサ
花後、萼が果実を包むように袋状になる。熟すと袋は白っぽくなる。 萼は小さな浅い皿状で果実を包まない。

雨のあとや夜露が降りたあとには果実の毛に水玉がつきます。 紅葉のような裂けた葉が特徴。


ヤマジノホトトギス ヤマホトトギス ヤマトウバナ ヤマトウバナ
花被がほぼ水平に広がる。雄しべ、雌しべを支える柱のように見える花糸、花柱には斑点はない。 花被が強く下側に反り返る。雄しべ、雌しべを支える花糸・花柱に赤黒い斑点が見られる。

葉には粗い鋸歯があり、茎の先端に短い花序をつける。
イヌトウバナなどのようには花序を高く伸ばさない。



コフウロ ソウシチョウ
よく似たゲンノショウコの白花は花柄などに毛が密生している。 すっかり金剛山に定着してしまった南アジア原産の外来鳥。


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