第135回観察会の記録

1.日時:平成29年11月11日(土)

2.参加人数:39名

3.観察コース:水越峠バス停〜水越峠〜ガンドガコバ林道〜水場〜カヤンボ先作業道(昼食・解散)

4.観察会の状況

旧国道の復旧工事のためにバスが大和葛城登山口までしか運行されず、バスで参加された人は30分ほど歩いての集合でした。
・前回の観察会が雨で中止だったため、明け方まで雨が残ってまた中止かと天候に危惧しました。何とか天気になり後半は青空も
 見られるほどで、実施して良かったとの思いです。
・国道沿いでは、マルバノホロシの赤い実や、シオデやイボタノキの黒い実を始めキヅタ等も観察できました。
・林道に入ってからは、アオツヅラフジ、シラキ、アマチャヅルなど木の実、草の実などが楽しめました。
・今回の花のメインは、シマカンギクとアワコガネギクの見分け方。
 シマカンギクの花弁はアワコガネギクよりも少し大きく幅広。
 アワコガネギクの花は、いかにも黄金色の泡が吹き上がってくるように少し小ぶり。
 花を支えている一番外側の総苞(総苞外片)の形や葉の違いなどで見分けますが、中間的な雑種もあり迷うことも多い花です。
 複数の特徴と花全体の雰囲気で判断するのが良いように思います。
・その他、ツルウメモドキ、マユミ、コマユミ、ニシキギなどニシキギ科の樹木の果実も比較してみることができました。

 5.観察できた植物

@主な草花(約32種、葉だけの物も含む。便宜的にシダ植物も含めています。)
・アオミズ、アカネ、アマチャヅル、アワコガネギク、イタドリ、イヌコウジュ、イヌタデ、イラクサ、ウラジロ(シダ植物)、オタカラコウ
・カナムグラ、キンミズヒキ、ケシロヨメナ、ゲンノショウコ
・シオデ、シマカンギク、シラネセンキュウ、スズメウリ
・チカラシバ、テンナンショウ、ナギナタコウジュ、ノコンギク、ハナタデ、ヒキオコシ、ヒメジソ、ヘクソカズラ
・マルバノホロシ、ミズヒキ、ヤクシソウ、ヤブマメ、ヨウシュヤマゴボウ、ヨシノアザミ  など

A主な樹木(約30種、葉だけの物を含む)
・アオツヅラフジ、アサガラ、アブラチャン、イボタノキ、イロハモミジ、ウスゲクロモジ、ウリハダカエデ、エンコウカエデ、オオバアサガラ
 オオバヤシャブシ、オトコヨウゾメ、オニツルウメモドキ、
・ガマズミ、キヅタ、キダチコマツナギ、ケヤマハンノキ、コクサギ、コマユミ
・シラキ、シロダモ、スイカズラ、ダンコウバイ、
・ニシキギ、ノイバラ、ノブドウ、マメガキ、マユミ、ミズキ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキ  など



〇植物の写真

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アオツヅラフジ(ツヅラフジ科) アカネ(アカネ科) アマチャヅル(ウリ科) アマチャヅル(ウリ科)
果実の袋の中に、化石のアンモナイトのような形で並んだ種子が入って居る。
熟すと小さな真っ黒い種子ができる。

熟すと黒っぽい濃い緑色になる。

種子の上の方に白いリングのような模様ができる。花弁が付いていた跡か?

アブラチャン(クスノキ科) イヌコウジュ、ヒメジソ(シソ科) イボタノキ(モクセイ科) ウド(ウコギ科)
熟すと濃い褐色になる。ダンコウバイと花は似ていても種子はだいぶ違う。 花や形はよく似ているが、イヌコウジュの萼裂片は真ん中が特に尖っている。 林道には、葉の先端が少し尖ったミヤマイボタが有るが、これは先端が丸くイボタノキ。

アワコガネギク(キク科) シマカンギク(キク科) シマカンギク、アワコガネギクの総苞外片の違い アワコガネギク、シマカンギクの葉の違い
小さな泡のような黄金色の花が咲くことからアワコガネギクと名が付いた。シマカンギクとよく似ている。
シマカンギクには、葉の付け根に仮托葉が見られる。総苞外片の形や葉の形、厚み、色などで見分けるが、中間的なものも多い。
シマカンギクの花の方が方が少し大きく、花弁も細い。総苞外片も少し幅広で瓦状形。

アワコガネギクの方が、葉は少し薄く色がやや明るく葉の切れ込みが深い。


ノコンギク(キク科) オトコヨウゾメ(スイカズラ科) カラスウリ(ウリ科) スズメウリ(ウリ科)
ノコンギクもかろうじて残っていました。 残り物のオトコヨウゾメの赤い実が一つだけ。 熟れると赤いカラスウリの果実。 スズメウリは熟しても白っぽくなるだけ。

ウリハダカエデ(カエデ科) ウリハダカエデの紅葉 コクサギ(ミカン科) コクサギ(ミカン科)
日当たりの良い所では鮮やかな赤に。 全体が黄色いままで終わるものも。 沢山の果実を付けたコクサギ。 一つの果実が4つに分かれている。

キヅタ キヅタ オニツルウメモドキ(ニシキギ科) オニツルウメモドキ(ニシキギ科
道路際の木に巻き付いていたキヅタ。

先端をよく見るとなかなか面白い。

ニシキギ科の果実の多くは裂開して仮種皮に包まれた分果が姿を見せる。
ちはや園地ログハウス前にも生えているので近くで観察できます。

コマユミ(ニシキギ科) ニシキギ(ニシキギ科) マユミ(ニシキギ科) キダチコマツナギ(トウコマツナギ)(マメ科)
コマユミの種子は1〜2個。ニシキギと違って枝に翼が無いので、枝の緑色がよく見える。

ニシキギとコマユミとの違いは、枝に翼があるか無いかだけ。

分果に分かれる前のマユミの果実。4つに分かれると同じように仮種皮に包まれた分果が現れる。
中国原産のキダチコマツナギ。果実は殆ど同じ。コマツナギと同じ種とする意見もあるとか。


シオデ(サルトリイバラ科) バッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)(ヤナギ科) シラキ(トウダイグサ科) シラキの紅葉
シオデの特徴的な葉の形が残っていました。
果実は照りのある黒い色に熟す。

昼食時に質問のあった葉はバッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)でした。ヤナギの割には葉の幅が広く、乾燥した斜面にも生育する。
左の方に3つに分かれた果実が見えます。紅葉の時期になると俄然目立ってきます。

紅葉の初期には葉脈の緑色が残っていたり、葉が真っ黄色に色づきますが、最後は真っ赤に。モミジよりも綺麗かも。

ツリガネニンジン(キキョウ科) ノイバラ(バラ科) ヒノキ(ヒノキ科) フサザクラ(フサザクラ科)
果実は独特の形をしているので一度覚えると忘れない。 ノイバラの果実も先端にシベの跡が残っていてすぐ分かります。 果実はいいのですが、その元の花粉が悩ましい。
扁平な翼果で柄の先にぶら下がる。熟すと褐色。

ヘクソカズラ(アカネ科) マメガキ(カキノキ科) マルバノホロシ(ナス科) (参考写真)マルバノホロシの花
茶色に熟したヘクソカズラの実。考えてみれば失礼な名で、サオトメバナ、ヤイトバナの異名も。
昔、タンニンなどを採取するために里山に植えたと言われています。

ヤマホロシの果実と見分けが付かないが、花の時期に確認したところ、この株はマルバノホロシ。
今年8月に撮影した同じ株。細かな見分け方は、
9月9日第133回観察会記録を参照してください。

ムラサキシキブ(シソ科) ヤブムラサキ(シソ科) ヤマハッカ(シソ科) ヨシノアザミ(キク科)
ムラサキシキブの花や果実は上向きに付く。無毛。

ヤブムラサキは枝などが毛に包まれている。この写真は毛を撮るために向きが変わっていますが、枝の下に下向きに付いています。
ヤマハッカがまだ残っていたようです。


ヨシノアザミの花もわずかに残っていました。



オオバアサガラ、アサガラ(エゴノキ科) ケヤマハンノキ(カバノキ科) ダンコウバイ(クスノキ科) 災害の爪痕(林道の崩落)
オオバアサガラの花、果実は長く垂れ、アサガラは短く横に張っている。オオバアサガラの葉は少し長く裏に横向きの葉脈が浮き出ている。、アサガラの葉は幅広。ただ、木が高いので葉を比べにくい。 いつも、3月の観察会で雄花を見るが、葉が出ていないので見ることは少ない。横向きの葉脈も目立つ。


ダンコウバイの花芽と葉芽は離れている。
アブラチャンとの違いは、
3月25日第127回観察会記録を参照してください。

今回の台風はあちこちで大きな爪痕を超しました。
特に、谷筋では被害が大きくだいぶ植物の様子も変わってしまったものと思われます。


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