第139回観察会の記録

1.日時:平成30年7月14日(土)

2.参加人数:32名

3.観察コース:集合場所〜久留野林道〜久留野峠〜ちはや園地(昼食、解散)

4.観察会の状況

・梅雨明け、酷暑で熱中症になるのが心配されるほどの天気でしたが、樹林下のコースであったため幸いでした。
・色づいた花は少なくなって、これまで見てきた植物の果実ができはじめていて変化が楽しめました。
・なかでも、ツノハシバミの果実を間近で見ることができたのは幸いでした。春に雄花・雌花を見ることはあっても、果実を見たことはありませんでした。見やすい場所なので、春の観察も楽になります。
花の咲いたものとしては、ノリウツギ、ヤハズアジサイ、ムラサキニガナ、モミジカラスウリ等ですが、ヤマジノホトトギスも咲き始めていました。
・解散後、帰路にアクシバやオオカモメヅルも見ることができました。府道沿いではヤマユリも咲き始めていたので、番外編として記載しました。
・虫エイのことで色々調べてみました。不思議なものです。
・個人的な都合で留守にするため、7/17 手持ちの写真で取り急ぎまとめました。提供頂いた写真は追加して掲載します。

・最初のアップ以降、第2回目のとりまとめとして追加して掲載しました(7/21)。 ありがとうございました。

 5.観察できた植物

@主な草花(約40種以上、葉だけの物、シダ植物なども含む)
・アカショウマ、アカネ、イガホウズキ、ウバユリ、ウマノアシガタ、オウギカズラ、オカトラノオ、オトコエシ、
・ガンクビソウ、キッコウハグマ、キツリフネ、ギンレイカ(ミヤマタゴボウ)、クサアジサイ、クモキリソウ
・サジガンクビソウ、サワギク、タケニグサ、ツカモトハコベ、ツルニンジン、トキワハゼ、トチバニンジン
・ナガバノハエドクソウ、ヌスビトハギ、ハエドクソウ、ヒヨドリバナ、フタバアオイ、ホウチャクソウ、ホタルブクロ
・ミゾホウズキ、ミヤコオトギ、ムラサキニガナ、モミジガサ、ヤブカンゾウ、ヤブタバコ、ヤブハギ、ヤマノイモ、ヤマゴボウ

A主な樹木(約33種以上、葉だけの物を含む)
・アブラチャン、イワガラミ、イヌガヤ、ウツギ、ウラジロマタタビ、ウリカエデ、エビガライチゴ、オオバアサガラ
・カナクギノキ、クマシデ、クマノミズキ、コバンノキ、タンナサワフタギ、ダンコウバイ、ツノハシバミ、ツリバナ
・ニガイチゴ、ネムノキ、ノダフジ、ノブドウ、ノリウツギ、
・ハナイカダ、ヒメクロモジ、フジツギ、フサザクラ、マタタビ、ミツバウツギ、ムラサキシキブ
・ヤマグワ、ヤマウルシ、ヤハズアジサイ、ヤマアジサイ、ヒメヤシャブシ、


〇植物の写真

  (サムネイルをクリックすると、拡大画像になります。元に戻るにはブラウザーの「戻る矢印ボタン」を押してください。)


イヌガヤ果実 トコロ(オニドコロ) ヤマノイモ
〇トコロとヤマノイモは同じヤマノイモ科で、非常に似ているが、ヤマノイモの方が葉の長さが長い。それでも迷う場合は、トコロは葉は互生、ヤマノイモは対生て見分けると良い。上方向に伸びているのは共に雄花。



フサザクラ果実 (参考写真)フサザクラの花 ノリウツギ
〇花が終わると忘れてしまうが、フサザクラに果実が沢山ぶら下がっている。 〇4月上旬、葉の開く前に雄しべ、雌しべだけの花を咲かせる。花びらは無く、赤い葯が目立つ。 〇アジサイ科のアジサイ属に属するウツギ。ウツギ、マルバウツギ等は、同じ科のウツギ属。

コマユミの果実 クマシデの果実 (参考写真)クマシデの雄花と雌花
〇秋には赤く色づく。


〇夏頃から目立ち始める果実。
〇枝から垂れ下がっている雄花に比べて、雌花は殆ど見えない。出始めた葉の間に隠れている。雄花はやがてなくなってしまい、受粉した雌花が垂れ下がってきて果実になる。

ツノハシバミ果実 (参考写真)ツノハシバミの雄花と雌花 ミツバウツギ
〇つののように飛び出した果実。熟すと、なかにドングリのような堅果がなるとのこと。

〇雌花の先端から赤い雌しべが飛び出している。受粉すると、こんなにも大きいつのになるとは。 〇果実が少し赤みがかって熟してきた。



ヤハズアジサイ ヤブカンゾウ ムカゴイラクサ
〇林道沿いにはヤハズアジサイが多い。

〇一つ一つの花は一日花。次々と咲いては終わる。 〇もう少ししたらムカゴができて栄養繁殖でも増える。触ると痛がゆい。


マタタビの果実と虫エイ マタタビ雄花 マタタビ両生花
〇雄花にタマバエやアブラムシが産卵するとごつごつした果実になるという→「雄花だと果実といえないのでは」と思い調べてみました。 〇黄色い雄しべだけの雄花。


〇白く傘のように張り出している雌しべと黄色い雄しべを持つ両生花。


マタタビの虫エイ(虫こぶ)をネットで調べている内に、面白いページを見つけました。「なかなかの植物ルーム」というページです。
詳しくはそのページを見てもらうとして、要約すると

@マタタビには、雄しべだけの雄花と、雄しべと雌しべのある両生花、雌しべだけの雌花があると言われている。

A花を観察していると、両生花から雄しべが沢山落ちており、雌花と言われているものは両生花の雄しべが落ちたものではないか?

B雄花の花粉と両生花の花粉を寒天培地で培養すると、両生花の雄しべからとった花粉からは花粉管がでない。(花粉の役割を果たしていない)花粉の形も雄花のものとは違いっている。両生花の雄しべの花粉は花粉としての役割を果たしておらず、雌しべしか役に立っていない。
→両生花とはいうものの実質的に雌花で、雄花からの花粉で受粉しているのではないのか?


Cごつごつしたマタタビの果実は雄花に虫が産卵してでき、両生花にできるものは尖ったドングリ型の果実。両生花にできるものが果実で、雄花にできるものは果実では無く虫エイ。

というものでした。

花粉の様子を寒天培地で培養するなど本格的なもので、一度、ご覧頂いてお楽しみください。
薬効のあるマタタビ酒になるのは、この虫こぶのできた虫エイを漬けたもので、果実を付けたものでは無いと言うことでしょうか。

「なかなかの植物ルーム」マタタビ 花と果実  http://www.juno.dti.ne.jp/

※マタタビの虫エイのことは、「マタタビミ フクレフシ」 と言います。マタタビの実にできるふくれた虫こぶという意味でしょうか。

ムラサキニガナ ムラサキニガナの葉 モミジカラスウリ
〇花が終わると毛に包まれた種になっていく。

〇裂けた葉が特徴的。

〇里ではカラスウリの方が多いような気がします。

エビガライチゴ ヤマジノホトトギス マルミノヤマゴボウ
〇赤茶色の腺毛が特徴的です。

〇ヤマホトトギスより咲きだしが早いような気がします。


イワガラミ
〇装飾花の花びらは一枚。

○最初のアップ以降提供いただいた写真を掲載しました。
ネムノキ フジウツギ フジウツギにとまったミドリヒョウモン
○ピンク色のしべが幻想的な雰囲気です。


○同じウツギの名が付いていても、アジサイ科のウツギとは随分違います。

○ミドリヒョウモン(雄)にとっては、貴重な蜜源。



エビガライチゴ ニガクサ モミジカラスウリ
○腺毛の赤さが目立ちます。


○カラスウリは朝になるとしぼんでしまいますが、モミジカラスウリは花の形が残っています。


ツカモトハコベ ツカモトハコベ ツカモトハコベ
○葉の様子がよくわかります。 ○花弁が無く、雄しべ、雌しべと萼だけの花です。

ギンレイカ ギンレイカ ヤハズアジサイ
○花が大きく開いているのをあまり見ません。 ○アップするとこんな風になります。


ヤハズアジサイ
○小花の様子がよくわかります。


〇今回、帰路でみつけました。
アクシバの花 アクシバの花と蕾 ウスノキの果実
〇しっかり探さないと見逃してしまいそうです。

〇まだ、大部分が蕾。

〇スノキの実を角張ったものにしたような果実。
マルミノスノキとも呼ぶ。
オオカモメヅルの花 オオカモメヅルの葉 オオカモメヅルの虫エイ?
〇花が咲き始めていましたが、アップして撮っているので、肉眼では蕾に見えていました。
〇くびれた対生の葉を探して、花を見つけないと殆ど気がつきません。
〇つるの先端に白い毛に包まれたものがありました。
オオカモメヅルの葉が伸び始める頃にタマバエ(カモメヅルタマバエ)が産卵して「オオカモメヅル メ フクレフシ」という虫エイができるようなので、これがそれかもしれません。
(今回は、虫エイばっかりになってしまいました。)

ミヤマハハソ(ミヤマホウソ)り 府道沿いのヤマユリ 府道沿いのヤマユリ
〇まだ、花が残っていました。

〇千早大橋より下の府道(千早赤阪村)で早くも咲き出しましたが、朝に見たときよりも数が減っていたような気もします。府道沿いの花くらい残して欲しいものです。




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