第121回植物観察会の記録

1.実施日:平成28年5月14日(土)

2.参加者:40名

3.観察コース

 伏見林道入口前〜久留野林道〜久留野峠〜(ダイヤモンドトレール)〜ちはや園地キャンプ場(昼食)〜ちはや星と自然のミュージアム〜らくらくの道〜
 四季の谷〜シャクナゲの路〜ミュージアム前広場(自由解散)

4.観察会の状況

・今回も新緑が映える絶好の観察日よりとなり、参加者も前回に引き続き40名に及ぶ観察会となった。

・午前中、今回の目玉の「オウギカズラ」は少なめだったが、その周辺に「ホウチャクソウ」が沢山咲いていた。
  久留野峠に上がってからキャンプ場に着くまでの尾根筋には、今盛りの美しい朱色の「ヤマツツジ」とヤマツツジとモチツツジの交雑種である
  「ミヤコツツジ」も鮮やかな紅紫色の花を付け、疲れを忘れる程でした。


・午後からは園地の四季の谷で可愛い変わった形の「クワガタソウ」、シャクナゲの道では黄色の綺麗な「ヤマブキソウ」など見られました。


・テンナンショウ属の植物の「ムロウテンナンショウ」と「コウライテンナンショウ」の違い、可愛い簪型の植物の「ヤマトグサ」の雌シベと雄しシベの見分け方などをルーペを使ったりして楽しく学習した。

5.観察できた植物

 @主な草花(開花していないものを含む)

 ・アオハコベ、ウラシマソウ、ウワバミソウ、ウバユリ、オウギカズラ、オオバノトンボソウ、
 ・カキドウシ、キランソウ、キクムグラ、クリンソウ、クサイチゴ、クルマムグラ、クワガタソウ、コウライテンナンショウ、
 ・サワギク、タチツボスミレ、タニギキョウ、チゴユリ、ツクバキンモンソウ、ツカモトハコベ、トチバニンジン、ニョイスミレ、
 ・フタリシズカ、フウロケマン、ヘビイチゴ、フタバアオイ、ホウチャクソウ、

 ・ミヤマハコベ、ミヤマナルコユリ、ミヤマキケマン、ミツバツチグリ、ムロウテンナンショウ、ミヤコアオイ、ムラサキケマン、
 ・ヤマトグサ、ヤマジサイ、ヤマブキソウ、ヤブヘビイチゴ、ユキザサ、ラショウモンカズラ、など38種

 A主な樹木(開花していないものも含む)

 ・アケビ、アワブキ、ウツギ、ウラジロマタタビ、ウラジロ、ウスノキ、オニツルウメモドキ、オトコヨウゾメ、オオバアサガラ、
 ・ガマズミ、カナクギノキ、クマイチゴ、クマシデ、コハウチワカエデ、コマユミ、コゴメウツギ、コツクバネウツギ、コバノガマズミ、コバノミツバツツジ、
  コクサギ、コバンノキ、コマユミ、
 ・サルナシ、シャクナゲ、タンナサワフタギ、ダンコウバイ、ツクバネウツギ、ツリバナ、トチノキ、
 ・ナナカマド、ニガイチゴ、ハナイカダ、ヒメヤシャブシ、マルバアオダモ、ミツバウツギ、ミヤコツツジ、メウリノキ、
 ・ヤマツツジ、フジ、ヤマグワ、ヤブデマリ、など41種


〇植物の写真

 4名の方から写真を提供頂きました。ありがとうございました。取りあえず5/18(水)までに提供頂いた写真をアップします。

(サムネイルをクリックすると、拡大画像になります。元に戻るにはブラウザーの「戻る矢印ボタン」を押してください。)

ヤマグワの雌花が果実に
なりかけていました。
その隣には雄花が少し長い雄し
べを垂れて。
ミツバウツギがもう蕾に。 ヤブデマリ
      オウギカズラ

今年は少し少なめでした。
オウギカズラ


       ハナイカダ

葉の真ん中に雄花が。
ホウチャクソウ ミヤマガマズミ      コバノガマズミ

葉柄がごく短い

      アオハコベ

早春から何度か見て、まだ咲い
ていました。
       ウスノキ

これから色づいてくることでしょう


       キクムグラ

キクムグラの花も横から撮ると
また違う雰囲気が。
クルマムグラ       クマイチゴ

花も終わりかけていましたが、
丸く並んだ雄しべの形がイチゴの
特徴をよく表していました。
ユキザサ       ササノハスゲ

あっちこっちに葉をひろげげ始め
ていました。スゲの仲間は奥が深
くよく分かりません。
      
      クワガタソウ

2本の突き出したシベの形が兜の
鍬形に似ているとか、果実の形が
似ているとか、諸説有るようです。


     ヤマツツジ

花の色は朱色。花の基部は粘
らない。



        ミヤコツツジ

ヤマツツジとモチツツジの自然交
配種。
花の色はモチツツジよりも赤みが
強いが花の基部は粘らない。
葉はモチツツジのように毛が多
い。
   (参考写真)モチツツジ

花の基部は粘り、葉に毛が多い。



      オトコヨウゾメ

秋になると赤い実を付けます。



     オトコヨウゾメ

花が垂れ下がって付くため、下か
ら見上げないと中が見えません。


番外編
         オオルリ

下山の途中、しゃくなげの路で、
きれいな声で鳴いていました。



〇ヤマトグサの不思議、ササノハスゲとタガネソウ


      ヤマトグサ

牧野富太郎博士が日本人として
初めて学名を付けた植物。
アカネ科。
茎の先端に、反り返った萼片と
垂れ下がった雄しべだけの雄花
をつけて、かんざしを思わせる。
花弁はない。
葉腋にU字状の花柱を覗かせた
雌花を付ける。花弁はない。
花粉は風で媒介され、果実がで
きる。

       ササノハスゲ

ササノハスゲもタガネソウも
カヤツリグサ科スゲ属で、見分け
にくい。ササノハスゲには、前年
の葉が汚緑色のまま残っていま
す。また、小穂は球状で丸っこい。
       タガネソウ

タガネソウは、前年の葉は残って
いても完全に枯れていて、新葉が
展開するそうです。



〇テンナンショウの仲間

サトイモ科の花は苞が大型に変化して花びらのようになった仏炎苞と、それに包まれた肉穂花序からなり、肉穂花序の下部(根元)に花があるが仏炎包に包まれているため見えない。

肉穂花序の上部は付属体と呼ばれて様々に変化している。

サトイモ科テンナンショウ属には、ムロウテンナンショウ、コウライテンナンショウ、ウラシマソウ、ユキモチソウ、キシダマムシグサなど変わった形をした物が多い。


    ムロウテンナンショウ

仏炎包に包まれた付属体の先端
が緑色のマッチの棒のように、ふ
くれる。
  コウライテンナンショウ

緑色の仏炎包に白い筋が入って
いる。付属体の先端は白く太い。
     ウラシマソウ

付属体の先端が糸状に長くなっ
て、浦島太郎の釣り糸を思わせ
る。





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