第142回観察会の記録
1.日時:平成30年11月10日(土)
2.参加人数:25名
3.観察コース:水越峠バス停〜旧国道309号線〜ガンドガコバ林道〜カヤンボ付近(昼食・解散)
4.観察会の状況
・集合時間頃には小雨がパラツイて心配されましたが、その後晴れ上がり、紅葉も楽しめる暖か一日になりました。観察中は、ダイヤモンドトレールのトレイルランイベントに参加している人たちが走りながら通過、賑やかな一日でした。 |
・花は、アワコカ゜ネギク、シマカンギクなどの野菊を中心にして数少なかったのですが、マルバノホロシ、ヒヨドリジョウゴ、ガマズミ、コクサギなどの草や木の実も見ることができました。また、シラキやダンコウバイ、モミジなどの紅葉も真っ盛りでした。
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・ダンコウバイ、アブラチャンなど早春に咲く木の花芽、葉芽の比較がおもしろかったので、この報告では、キクの違いの見分け方のほか、これらを中心にまとめました。今回、撮れなかったものは、別の機会に撮ったものを参考写真として載せています。 |
・アブラチャンの観察の際に、同じ属のヤマコウバシに関する質問もありましたので、以前に撮影した写真を掲載しました。参考にしてください。 |
・来年の3月まで定例の観察会はありませんが、特別観察会を企画できればまたお知らせします。 |
5.観察できた植物
@主な草花(約44種以上、葉だけの物も含む)
・アキチョウジ、アキノウナギツカミ、アメリカイヌホウズキ、アワコガネギク、イタドリ、イヌコウジュ、イヌタデ、ウバユリ、オオバクサフジ、
オオユウガギク、オタカラコウ
・キチジョウソウ、キンミズヒキ、クルマバナ、ケシロヨメナ、ゲンノショウコ、コメナモミ
・シオデ、シマカンギク、シュウブンソウ、シラネセンキュウ、セイタカアワダチソウ
・チカラシバ、ナギナタコウジュ、ニホンハッカ、ノゲシ、ノコンギク、ノササゲ
・ハキダメギク、ハダカホオヅキ、ハナタデ、ヒキオコシ、ヒヨクソウ、ヒヨドリジョウゴ、ヒヨドリバナ、ヘクソカズラ、ベニバナボロギク
ボントクタデ
・マルバノホロシ、メマツヨイグサ、ヤクシソウ、ヤマユリ、ヤブヘビイチゴ、ヤブラン、
A主な樹木(約20種以上、葉だけの物を含む)
・アオツヅラフジ、イヌザンショウ、イボタノキ、ウリハダカエデ、エンコウカエデ、オオツルウメモドキ
・ガマズミ、キズタ、キダチコマツナギ、、コクサギ、コバノガマズミ、キダチコマツナギ(タイワンコマツナギ)、ケヤマハンノキ
・ダンコウバイ、ノイバラ、ノブドウ
・マメガキ、ミヤマイボタ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキ
〇植物の写真
(サムネイルをクリックすると、拡大画像になります。元に戻るにはブラウザーの「戻る矢印ボタン」を押してください。)
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マルバノホロシ |
ヒヨドリジョウゴ |
ヒヨドリジョウゴ |
ヤブヘビイチゴ |
○ヒヨドリジョウゴと同じ仲間なので、果実は区別しにくい。 |
○沢山の果実が残っていました。
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○赤い実には艶があるのでヤブヘビイチゴ。ヘビイチゴの果実には艶がない。 |
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アメリカイヌホウズキ |
アメリカイヌホウズキ |
アオツヅラフジ |
アオツヅラフジ種子 |
○薄い紫色の花。
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○果実は熟すると黒くなる。
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○果実の皮をむくと‥‥
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○アンモナイトのような模様の種子が出てくる。 |
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キダチコマツナギ(タイワンコマツナギ) |
アカネ |
ヘクソカズラ |
マメガキ |
○中国原産のコマツナギ。名称や分類の仕方にはいろいろな説があるらしい。 |
○アカネの果実も熟すると黒くなるが、艶がある。
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○ヘクソカズラの果実は色が違うのですぐ分かる。
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○マメガキの果実。柿渋を撮るために栽培されることが多かったという。 |
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ガマズミ |
コクサギ |
ヤブムラサキ |
オニツルウメモドキ |
○ガマズミの果実。こんなに派手でそれなりにおいしそうなのに、あまり鳥が食べない?
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○コクサギの果実は4つに分かれて中から種子が出てくる。葉の黄葉もきれい。
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○ヤブムラサキの果実が残っていました。ヤブムラサキの果実は、下向きに付く。
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○この時期になるとツルウメモドキの果実が目立ってくる。割れると赤い仮種皮に包まれた種子が出てくる。 |
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アワコガネギク |
シマカンギク |
シマカンギク |
シマカンギク |
○小さな黄金色の泡が湧くように小さめの黄色い花がまとまって咲く。 |
○アワコガネギクよりも花の数は少し少ないが、花は大きい。 |
○花数はアワコガネギクほどは多くない。
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○アワコガネギクとは葉の質、裂け方が異なる。葉の付け根に托葉がある。 |
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アワコガネギク |
アワコガネギク |
オオユウガギク |
オオユウガギク |
○葉は少し薄く、細かく裂ける。
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○托葉はないが、シマカンギクとの中間的な個体も多いので、複数の特徴から判断するしかない。 |
○淡い紫色の野菊の仲間は、金剛山付近ではオオユウガギク、シマカンギク、ヨメナなどがある。 |
○花数はあまり多くなく、花びらはヨメナなどより少し大きい。
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ノコンギク |
(参考写真)ヨメナ |
ケシロヨメナ |
○一つの株の花数が多く、葉ががさついている。
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○花数はそれほど多くなく、葉は毛がなくがさつかない。 |
○花弁の色は白い。葉は毛が多くがさつく。
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総苞片の様子(オオヤユウギギク) |
総苞片の様子(ノコンギク) |
(参考写真)総苞片の様子(ヨメナ) |
総苞片の様子(ケシロヨメナ) |
○総苞の形は、上で少し広がった皿のような形。総苞片の先端が少し紫色。 |
○総苞の形は少し細長く、総苞片に濃く紫色がある。 |
○シマカンギクほどは細長くなく、色はあまり付かない。 |
○ついでにケシロヨメナも見てみると、ほんの少し色が付いているだけ。 |
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ノコンギク |
ノコンギク |
ノコンギク |
ノコンギク |
○ノコンギクには長い冠毛が沢山ある。ヨメナにはきわめて短い冠毛しかない。
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○舌状花をよく見ると冠毛が見える。
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○冠毛は舌状花の子房に付いている。
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○種子が大きくなった頃に花をむしると果実(そう果)になった子房の部分に長い冠毛が見える。 |
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ダンコウバイ |
ダンコウバイ |
アブラチャン |
(参考写真)アブラチャン |
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○ダンコウバイの花芽と葉芽は離れている。
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○アブラチャンの花芽は葉芽の横で小さな柄にブラ下がっている。
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○春になって花が咲き始めても葉は展開しない。花の横にとがった葉芽が見える。 |
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(参考写真)ダンコウバイ |
ケヤマハンノキの葉の表 |
ケヤマハンノキの葉の裏側 |
ケヤマハンノキ |
○ダンコウバイの花芽は葉芽とは離れている。花に柄はない。 |
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○葉脈は葉裏に出っ張り、葉の裏や葉脈には毛がある。 |
○葉脈をアップで撮るとよく分かる。春先はもっと多いのかもしれない。 |
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(参考写真)ケヤマハンノキ |
カキノキ |
シラキ |
イロハモミジ(イロハカエデ) |
○いつも春の観察会では、垂れ下がる雄花、上に突き出す赤い雌花しか見ないので、葉に毛があるかどうかは見たことがなかった。 |
○紅葉も綺麗でウリハダカエデなどのほか、カキの葉も黄色く色づいてとてもきれい。
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○シラキは黄色い葉、部分的に緑色が残っている葉、真っ赤に色付いた葉など、いろいろ楽しめる。
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○モミジの定番、イロハモミジ。山の上の方の斜面を横切っている林道なので、鵜すられたものかもしれない。 |
○観察会の際に、
アブラチャンと
ヤマコウバシの違いなどに関してご質問がありましたので、手持ちの写真を掲載します。
ヤマコウバシは、アブラチャン、ダンコウバイ、ヒメクロモジなどと同じクスノキ科クスノキ属の雌雄異株の木ですが、(日本では?)雌株のみで雄株が見つかっていないという不思議な木です。
花芽と葉芽が一つの冬芽の中に入っています。アブラチャンやダンコウバイ、ヒメクロモジなどは別々の冬芽になっており、ヤマコウバシはクロモジ属唯一の混芽の植物です。
開花時期は、4月中旬でアブラチャンなどよりは少し遅くなります。(掲載した写真は4月20日頃の撮影です。)
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ヤマコウバシの混芽と枯葉 |
ヤマコウバシの雌花と葉 |
ヤマコウバシの雌花 |
○枯れた葉は意外としっかりしていて弾力も残っている。 |
○葉芽と花芽が一つの冬芽に入っている混芽なので、同時に展開する。 |
○短い花被片から子房や花柱が飛び出た特徴的な花。 |
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