第144回観察会の記録

1.日時:平成31年4月28日(土)

2.参加人数:40名

3.観察コース:ロープウェイ前バス停〜伏見林道〜ちはや園地(昼食)〜四季の谷、シャクナゲ路〜ミュージアム(解散)

4.観察会の状況

3月の観察会が中止だったため、40名の方の参加がありました。
今年は、4月に入っても寒く、早く咲いたものと遅れているものが混じり、全体には少し遅いようですが、咲きぶりがよく分かりません。
伏見林道ではコクサギの雄花、雌花の違いなどを観察し、ちはや園地では咲き始めたシラネアオイなどが楽しめました。
四季の谷では広がりつつあるピンクのエイザンスミレを、シャクナゲの路では数年前から見られるようになったエゾエンゴサクやヤマエンゴサク、レンプクソウ等を観察。
・翌日に野鳥観察会のためにしゃくなげの路を通る際に、ヤマウグイスカグラを見つけました。植物観察会当日に気がつかなかったのは残念ですが、参考までに 一番最後の番外編に写真をあげておきます。来年の観察会では紹介したいと思います。
観察会終了後、下山のためキャンプ場を通過中にキビタキに遭遇しました。あまりに綺麗だったので、これも写真をアップしました。

 5.観察できた植物

@主な草花(約52種以上、葉だけの物も含む)
・アオイスミレ、アオハコベ、エイザンスミレ、エゾエンゴサク、エンレイソウ、オオチャルメルソウ(ヤマトチャルメルソウ)
・カキドオシ、カタクリ、キクザキイチゲ、キランソウ、クリンユキフデ、
・シハイスミレ、ショウジョウバカマ、シラネアオイ、シロバナネコノメソウ、ジロボウエンゴサク、センボンヤリ、
・タチツボスミレ、ツクバキンモンソウ、ツルカノコウソウ、テリハキンバイ、トウゴクサバノオ
・ニオイタチツボスミレ、ニッコウネコノメ、ニョイスミレ、ニリンソウ、ネコノメソウ、ヒナスミレ、フタバアオイ、
・ミヤコアオイ、ミヤマカタバミ、ミヤマキケマン、ミヤマハコベ、ムラサキケマン、ヤマエンゴサク、ヤマシャクヤク、ヤマトグサ
 ヤマブキソウ、ヤマルリソウ、
・ユキザサ、ユキモチソウ、ヨゴレネコノメ、マルバコンロンソウ、ラショウモンカズラ、ヒトリシズカ、レンプクソウ
・ツルカノコソウ、ミヤマコウモリ、ナガバノタチツボスミレ、ヌカボシソウ

A主な樹木(約18種以上、葉だけの物を含む)
・ウスゲクロモジ、オノエヤナギ、カナクギノキ、コクサギ、コバノミツバツツジ、コブシ、ゴマギ、コミノサルトリイバラ
・シャクナゲ、トリガタハンショウヅル、ナガバモミジイチゴ、ニガイチゴ
・ハウチワカエデ、ヒメクロモジ、ミツバツツジ、ミツバウツギ、ミヤマウコギ
ヤマブキ



〇植物の写真

  (サムネイルをクリックすると、拡大画像になります。元に戻るにはブラウザーの「戻る矢印ボタン」を押してください。)

センボンヤリ アオハコベ アオハコベ ミヤコアオイ
○秋には閉鎖花をつけて槍のようにとがる。 ○花弁がなく、萼と雄しべ、雌しべだけの花。 ○新葉の下にくびれた花が出てきた。

フタバアオイ フタバアオイ フタバアオイ フタバアオイ
○徳川家の御紋のモデル。常緑のミヤコアオイと違って冬の間は地上には葉もなくなり、春先に新葉と花を出す。萼は、下半分は合着して筒になり上半分は先端で折り返して三角状になる。 花のように思ってみているのは萼が折り返した姿。

ウスゲクロモジ(ミヤマクロモジ) ウスゲクロモジ(ミヤマクロモジ) コクサギ雄花 コクサギ雌花
○金剛山にあるクロモジは、ヒメクロモジとこのウスゲクロモジ。ウスゲクロモジは、葉の裏は絹毛に覆われていて、葉脈が裏に飛び出る。 ○コクサギは雌雄別種。雄花は総状について、黄色い葯(花粉袋)を突き出す。雌花は緑色であまり目立たなく、数も少ない。

トオゴクサバノオ ヤマトグサ ネコノメソウ ネコノメソウ
○花が終わると鯖の尾っぽのように斜めに開いた実をつける。 ○まだ、雄花が開いて垂れていないが、連休を過ぎる頃にはカンザシのようにぶら下がる。 ○ネコノメソウは水のついた湿ったところに多い。対生で雄しべの数が4本。ヤマネコノメソウに比べてあまり見ることはない。

ヤマネコノメソウ ヤマネコノメソウ キランソウ ツクバキンモンソウ
○ヤマネコノメソウは、比較的乾いたところでも多く見られる。互生で雄しべは8本だが、4本のこともあり、葉の互生と併せて識別ポイントにしたがよい。 ○シソ科。ジゴクノカマノフタの別名を持つ。毛に覆われている。 ○シソ科。乾いた斜面に多い。


コバノミツバツツジ コバノミツバツツジ コバノミツバツツジ ミツバツツジ
○金剛生駒山系に自生するミツバツツジは、このコバノミツバツツジ。花はミツバツツジよりは少し小さく、色も少し薄い。雄しべの数は10本で、雌しべの基部の子房に短い毛が密生するのが特徴。ミツバツツジは奈良県の東部や南部(大峰山系など)には自生するがちはや園地のものは植栽。 ○コバノミツバツツジより少し色が濃く花も少し大きい。


ミツバツツジ イロハモミジ コハウチワカエデ エンレイソウ
○黒っぽい子房に白い腺点が密生するところが違う。
○ちはや園地のハウチワカエデは植栽。金剛山に多いのはコハウチワカエデ。 ○ちはや園地のエンレイソウは自生。最初は数も少なかったが少しずつ増えてきた。

エゾエンゴサク エゾエンゴサク ヤマエンゴサク ヤマエンゴサク
○エゾエンゴサクは、主に東北、北海道に自生。ちはや園地のものは植栽植物の土などに混入していたものかもしれない。花の直下の苞葉に切れ込みはない。ちはや園地のものは葉が丸く鮮やかな青紫色だが、自生地では葉の形も色もいろいろで変異が多いとか。 ○金剛山に普通に見られるのはキンキエンゴサクでヤマエンゴサクの変種。ちはや園地になぜヤマエンゴサクが生えているのかも不明。キンキとヤマの識別は、厳密には種子の突起で判別するという。詳しくは、HP 「金剛山の自然」の和名検索キンキエンゴサクでご覧ください。

ヤマエンゴサク (参考写真)キンキエンゴサク ジロボウエンゴサク ジロボウエンゴサク
○ヤマエンゴサクの苞葉は櫛の歯状に切れ込む。 ○キンキエンゴサクも櫛の歯状に切れ込むのでこの点では区別できない。 ○他のエンゴサクに比べて赤紫色が強い少し小さな花。苞葉は切れ込まない。伏見林道などでもよく見られる。

エイザンスミレ エンザンスミレ エイザンスミレ ニオイタチツボスミレ
○花の色は通常は白か、少しピンクがかった白色が多い。ちはや園地のピンクのものは最近増えてきた。

○タチツボスミレより色が濃く、花弁の幅が広い。花の咲き始めには微香がする。

タチツボスミレ ニオイタチツボスミレ タチツボスミレ シラネアオイ
○タチツボスミレの花柄には毛がない。

○ニオイタチツボには短い毛がある。

○今年は葉脈の赤っぽいものを見かける。

○中部地方では雪渓下部など湿ったところで自生。

レンプクソウ ミヤマハコベ クリンユキフデ トリガタハンショウヅル
○花は四方と上方に向けて咲くので五輪花とも。
○ミヤマハコベは他のハコベに比べて少し大きい。 ○ちはや園地で見つかったタデ科の花。

○観察会の時は残念ながら蕾。細長い毛玉のよう。連休中に開花した。

○番外編

ヤマウグイスカグラ キビタキ キビタキ
○観察会後、らくらくの路で見つけました。来年は紹介したいものです。 ○観察会終了後、キャンプ場で遭遇。なぜか逃げても戻ってくるなど巣作りでもしようとしているのか?でも、翌日の野鳥観察会では観られませんでした。



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