〇2020年10月8日 第155回観察会
 ・参加者 25名
      
・天気予報では曇り。少し雨が近そうな雲が広がりましたが、なんとか最後まで待ちました。
      ・観察できた植物は、
       アキギリ、ケシロヨメナ、ノコンギク、ゲンノショウコ、コフウロ、ヨシノアザミ、アレチウリ、カナムグラ、ツルニンジン、ミズヒキ、ナギナタコウジュ、フトボナギナタコウジュ
       ハナタデ、ボントクタデ、ヒヨドリバナ、アキギリ、ホトトギス、コシオガマ、ハダカホオズキ、イヌホオズキ、ミゾソバ、アキノウナギツカミ、タニソバ、レモンエゴマ、
       マツカゼソウ、アケボノソウ、ヤマホロシ、シラネセンキュウ、ミカエリソウ、ナベナなど50種類ほどでした。
      ・いつもは、アケボノソウが沢山咲いている黒栂谷の最奥部ではずいぶん少なくなっていたほか、林道沿いにつけられた作業道では、おそらく園芸種と思われる
       ホトトギス、ボントクタデなどが見られていつもとは少し違った花の様子でした。
      ・よく似た花や面白い花が色々ありましたので、

       ヤマホロシとマルバノホロシ
       ミカエリソウの花の作り
       ホトトギス類の違い
       ホオズキ類の違い   
を写真であげました。
       


アキギリ カナムグラ雌花 カラスノゴマ フトボナギナタコウジュ
○今年は、早く咲いたり、いつまでも残っていたりとバラバラ。 ○雌花はホップのみのような形をしている。 ○花の下の細長いのは種子の入った袋。黒いゴマに似ているが、役に立たないという意味でをしているので、「カラスのゴマ」とついたと言う。 ○ナギナタコウジュに比べて幅が太い。

フトボナギナタコウジュ フトボナギナタコウジュ ナギナタコウジュ ナギナタコウジュ
○花や苞の周りに非常に毛が多い。 ○少し丸みを帯びた葉。 ○幅は細く毛が少ない。 ○葉は細長い。

レモンエゴマ レモンエゴマ メナモミ メナモミ
○触るとよく香る。 ○茎などに毛が多い。 ○コメナモミよりも毛だらけ。

メナモミの腺毛 コメナモミ ハシカグサ マツカゼソウ果実
○花の下の葉などには、先端が膨れた腺毛(腺)が一杯で粘つく。 ○毛が少ない。 ○地面に広がる葉の先端に4〜5mmほどの小さな花をつける。 ○これから熟す種子。

ボントクタデ ハナタデ ツリフネソウ コフウロ
○林内に転々とみられたが、作業道をつけるときに持ち込まれたものかもしれない。 ○花弁が開いたハナタデの花。 ○種子が熟すと手で触ったり刺激を与えるとはじける。はじけやすいように折りたたまれているのが透けて見える。

ノコンギク ツクバネ ツクバネ アケボノソウ
○蕾が紫がかって特徴的。 ○ツクバネの果実が石積みの上の方に見えた。 ○これがそのまま羽子板の羽根になるわけではない。 ○今年はやや少ないかもしれない。

アケボノソウ コシオガマ モミジカラスウリ果実 ナベナ
○花弁の上の緑色の蜜腺に蟻が吸蜜に来ている。 ○思わぬところで咲いていた。1年生の半寄生植物。寄生するものがなくても育つ。1年生なのでこの場所に来年も咲くかどうかはわからない。
ナンバンギセル、シオガマギクなどハマウツボ科の仲間は半寄生のものが多いよう。
○9月上旬に咲いていたが、わずかに残っていたものもあったよう。小花から多数の種子をつけている。

ナベナ タニソバ フクロツチガキ ハシビロカミキリ
○これまでに撮影した花と葉の姿。茎には堅いトゲがある。 ○秋になると葉が紅葉するのが特徴。 ○雌と雄が2匹。2匹とも最後に食べられちゃうのかな?

○ヤマホロシとマルバノホロシ

ヤマホロシ果実 ヤマホロシ ヤマホロシ マルバノホロシ
○ヤマホロシの赤い実があった。 ○ヤマホロシの葉の表面には細かな毛が見られる。 ○ヤマホロシの花弁の付け根は黒っぽい紫色をしていて、緑色の半は点が少し間を開けて並んでいる。葉には時折裂けた形のものが混じる。よく似たマルバノホロシとは花や葉の様子が異なる。 ○花弁が反り返っていることが多い。花弁の付け根の緑色の斑点は連続した帯状に見える。葉には裂けたような形のものはなく、葉の表面には毛がない。


○ミカエリソウの不思議
 ・シソ科ではこれだけが木本(樹木)。いつも葉が虫に食べられてきれいな葉を見ることが少ない。
 ・小さな花が穂状につながっているが、よく見るとなかなか興味深い形をしている。  

ミカエリソウ ミカエリソウ蕾 ミカエリソウの雄しべと雌しべ ミカエリソウの雄しべと雌しべ
○小花の集まりで、下の蕾から順番に開いていく。 ○小花一つの蕾の中にさらに3個の花が入っている。3個の矢印の元は一つ。 ○一つの花には雌しべが1個と4個、合計5個のしべが飛び出ている。 ○雌しべの先端は2個に分かれている。左側は雄しべと葯。



○ホトトギスのいろいろ
 ・今回、新しくつけられた重機の作業道で園芸種とみられるホトトギスが見つかった。作業道には畑や道路脇など近くでよく見られるボントクタデ、キツネノマゴなども見られたので、
  作業道を作るときやその後の作業の際に持ち込まれたものと思われる。
 ・金剛山で見られる、セトウチホトトギス、ヤマジノホトトギス、ヤマホトトギスとの違いを見てみることにしました。
 ・雄しべや葯にまで赤紫色の斑点があり、花披片の株に黄色い帯があるのでホトトギスではある。

ホトトギス ホトトギス ホトトギス
○白い色の個体が混じっていた。園芸種っぽい。 ○葉の形が野生のホトトギスのものと少し違うような気がする。 ○ホトトギスは、花披片(花弁)が上向きにそっている、花披片の付け根に黄色い帯がある。雄しべや葯にも赤紫色の斑点がある。
セトウチホトトギス セトウチホトトギス ヤマジノホトトギス ヤマホトトギス
○セトウチホトトギスは、花披片は横に開き、付け根に黄色い帯がある。 ○雄しべ、雌しべが立ち上がった柱のような部分には赤紫の斑点がある。
雌しべには赤紫の斑点があるが、雄しべや葯には無い。ヤマジやヤマにもない。
○花披片は横に開き、雄しべ、雌しべが立ち上がった柱のような部分には斑点はない。 ○花披片は下向きに開き、雄しべ、雌しべが立ち上がった柱のような部分に斑点がある。


○ホオズキのいろいろ
 
・広場の所にイヌホオズキがありましたので、これまで「最近の金剛山」コーナーで見てきたヤマホオズキなどと併せて見てみました。
 ・イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキの見分けのポイントは、花や果実の分岐するところの様子や果実の照りの有無のようです。 

イヌホオズキ イヌホオズキ イヌホオズキ果実 イヌホオズキ果実
○花はアメリカイヌホウズキとよく似ている。 ○葉には少しだけ鋸歯(葉の角のような部分)がある。 ○花や果実が複数ぶら下がるが、分岐の場所が少しずれている。果実に照りは少ない。
アメリカイヌホオズキ アメリカイヌホオズキ アメリカイヌホオズキ果実 アメリカイヌホオズキ果実
○複数の花は一カ所から分岐する。 ○葉には鋸歯(葉の角のような部分)が多い。 ○果実は一カ所から分岐し、黒い果実には照りがある。
ハダカホオズキ ハダカホオズキ ハダカホオズキ果実
○ハダカホオズキの萼は花弁の上に密着して目立たない。 ○葉には鋸歯はない。 ○ヤマホオズキなどと違って萼が変形した袋などに覆われていない。(はだか)
イガホオズキ イガホオズキ イガホオズキ果実
○萼の部分にトゲ(イガ)のような毛がある。 ○葉は丸っぽい。 ○花が終わると、萼が伸びてきて種子を包んでイガの付いた棍棒のようになる。
ヤマホオズキ ヤマホオズキ ヤマホオズキ
○萼の部分にトゲ(イガ)のような毛がある。 ○葉には少し鋸歯(角張った部分)がある。 ○花が終わると萼が伸びてきて袋状になり種子を覆う。







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